handpoint.

bodysuites
Bodysuits / Yellow Green /2013-2016




小さな駅、シャッターが閉まる商店街、地方にはどこにでもある小さな町。
田畑の間を通る一本の農道が町と町をつなぐ。
町の中心に進むにつれ、幾度も映画のポスターが目に映る。
ベニヤ板に貼られたポスターは、農道に面した民家の塀、電信柱、田畑の隅、
様々な場所でそれぞれの役割を果たそうとしている。
その町にある小さな映画館が用意したものだ。

二階建ての民家よりも少し大きい程度のその映画館は
アニメから成人映画まで幅広いジャンルが上映されていた。
上映される数週間前には、町のあちらこちらにポスターが貼れていく。
肌の露出が多い成人映画のポスターも決して例外ではない。
小中学校の通学路にも容赦なく卑猥なポスターが貼られていく。
もちろんポスターは元のまま貼られるわけではない。
アダルトビデオにモザイク加工を施すように、卑猥と判断される場所には手が加えられている。
着衣からはみ出た肌やシースルーの下着は、発色のよい黄緑色のペンキで塗りつぶされていた。
一部を不自然な色で塗りつぶされたポスターは、
配給会社から映画館に送られきたときのものよりも、一層卑猥にそして魅力的に映ってみえた。
なぜ黄緑色だったのか。

あれから約10年たった今も脳裏から離れないポスターを求め、
あの小さな映画館に向かった。
しかし、町から映画のポスターが消えていた。
2011年に起きた東日本大震災の建物被害により、
映画館は廃業に追い込まれていたのだ。
わずかに面影が残る待合室からでてきた高齢の支配人は、
閉館の理由以外、何も答えてはくれなかった。

人は隠されたものに興味を抱きやすい。
人が隠したいもの、そうせざる得ないもの。なぜ隠すのか。どのように隠すのか。
隠し方によってその目的は、当事者の意に反し、それとは対極に作用する。


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